COLUMN

2023/10/31

マーケティングリサーチと市場調査の違いとは?調査手法や活用方法、注意点を調査会社が徹底解説!

ビジネスにおいて、「マーケティングリサーチ」と「市場調査」の違いを理解することは非常に重要です。2つとも市場についての情報を収集し分析する方法ですが、その目的と対象範囲に違いがあります。マーケティングリサーチが全般的な市場に関する調査に対し、市場調査はより具体的なデータ収集に特化した調査です。市場調査は現代のマーケティングにおいて欠かせない調査であり、別名「マーケットリサーチ」とも呼ばれており、マーケティングリサーチと混同されやすいですが、厳密に言うと両者は異なるものです。本記事では、「マーケティングリサーチ」と「市場調査」の違いやそれぞれの活用方法、注意点について解説します。

 

マーケティングリサーチと市場調査の定義

マーケティングリサーチとは?

マーケティングリサーチとは、企業が自社製品の市場環境を理解し、より効果的なマーケティング戦略を考えるために行う情報収集と分析のプロセスです。それは消費者の行動や意識、競合他社の状況、市場の動向など幅広い情報を対象とします。

マーケティングリサーチは、製品の開発や改善、マーケティング戦略の策定、ブランドのポジショニングなど、ビジネス上の重要な意思決定に利用されます。このように、マーケティングリサーチは企業にとって価値ある情報を提供し、競争力を高めるための戦略立案に大いに寄与するツールなのです。

マーケティングリサーチには以下のような方法があり、製品の内容以外に広告や流通などの調査も行います。
 

製品テスト

消費者に新製品またはすでに販売されている対象製品を実際に使用してもらい、消費者の評価を探る調査方法です。消費者が新製品に対してどんな印象を持つか、どこを改良すればより売り上げを伸ばすことができるかなどの課題が浮き彫りになります。

 

事前事後調査

広告キャンペーンを実施する前と実施した後にそれぞれ調査を行ない、結果を比較してキャンペーンなどの効果を測定する調査方法です。製品テストで、製品を使用する前後での購入意向の変化などを測定する場合にも用いられます。

 

ホームユーステスト(HUT)

製品や試作品などを対象者宅に送り、生活の中で実際に使用してもらい、その評価を得る調査手法です。長期間試用してもらって初めて適切に評価してもらえる製品や、自宅という実際の使用環境でうまく価値を発揮できるか検証したい場合に効果的な調査です。

アンケートは 紙で実施することもありますが、インターネットのアンケート画面で回答してもらう方が低コストかつスピーディーに回収できます。

 

パッケージ・テスト

製品容器のデザインや色合い、使いやすさ、材質などに関してのテストです。消費者にパッケージについての評価や、実際にその製品を購入したいか、店頭で目立つかどうかなどの意見や感想を集めます。

 

ネーミング・テスト

製品名やサービス名を決めるためにおこなうテスト(リサーチ)のことです。受容性調査の1つ。具体的な方法は、候補名をいくつか挙げ、どの名前がその製品・サービスによく合うか、複数の候補の名前に対する意見、印象を消費者に尋ねるテストです。

 

テスト・マーケティング

新製品や新サービスを販売する前に、限られたエリア内で一定期間、試験的に販売することです。新しい製品・サービスを販売していく上でのリスクを最小限にし、全国展開した際の販売予測を行い、効果的な生産計画を立てることが目的です。

食品や化粧品の場合、企業が無料サンプルを提供するイベントを主催したり、特定エリアのコンビニで試験的に販売するのはテスト・マーケティングの一例です。テスト期間中に得られたデータは、マーケティング戦略にも活かされます。
 

市場調査とは?

市場調査とは、特定の市場や顧客層について深く調査し、具体的なデータを収集する活動です。その目的は、製品やサービスが市場で受け入れられる可能性を評価し、その市場の規模や成長性を理解することです。

市場調査には、一次調査と二次調査の二種類があります。一次調査は、自社が直接消費者や業界関係者から情報を収集するもので、アンケート調査やインタビュー調査、モニタリングなどの手法が使われます。一方、二次調査は、既存の資料やデータを活用して市場の動向や競合状況を分析します。たとえば、政府統計データや業界報告書、過去のマーケティングデータなどがその対象となります。

市場調査は、市場の現状や将来の見通しを明確にするだけでなく、新しいビジネスチャンスを見つけたり、競合環境を把握したりするための重要な手段となります。市場調査にはさまざまな様式がありますが、一般的に初期段階では個人の意見や事実を重視し、アンケートなどの調査を行ってデータを取得します。その後、より具体的に分析する段階で顧客全体の傾向や統計的な数字を重視することが多いと言われています。

また、市場調査にはいくつかの調査手法があります。その中で代表的な調査手法をご紹介します。
 

定量調査

定量調査は、母集団となる調査対象者が多い場合に全体の傾向を把握するために調査を実施するケースが多いです。集計したデータが容易に数値化できるので理解しやすいうえに、時系列比較、他社比較などができます。ただし、統計上信頼性のあるデータと言うためには、ある一定量以上のサンプルサイズが必要です。定量調査は主にそのカテゴリの市場把握や購入状況といった「実態調査」と、自社の仮説が実際の市場ではどのようなものなのかを把握する「検証調査」の2パターンが多くみられます。

 

定性調査

定性調査は、調査対象者に対してインタビューなどを行い、消費者の生活実態や製品 / サービスの改善点などのより深い洞察を得るために行われます。インタビュー参加者の発言から更に深堀りして数値やデータ化しにくい部分を汲み取ったり、消費者自身が自覚していないようなニーズを把握することが可能です。主にターゲット層の「消費者理解」や自社製品の「改善点の発見」、インタビューの発言を踏まえたうえでの「仮説構築」が挙げられます。

 

統計データ調査

政府や大学など公的機関が調査・公表している統計データをもとに、ターゲットとなる顧客の属性(年齢・性別・職業など)に合わせて、数値の割り出しや統計データを調査します。デスクリサーチとも呼ばれ、Webサイトや社内にある既存の資料を使ってデータをもとにリサーチすることも可能です。調べたいテーマの市場や業界動向を調べる場合に適しており、「調査したいキーワードでネット検索」「Webで既存資料・統計を収集する」などの方法が一般的です。メリットは、時間をかけずに幅広く情報を集めることができること。デメリットは、情報の真偽性が不明であったり、著作権の制限があったりした場合はデータが活用できないことです。

これらを組み合わせることによって、市場調査は行われます。
 

マーケティングリサーチと市場調査の違い

マーケティングリサーチと市場調査、これら2つの言葉を日常的にビジネスの中で耳にすることが多くありますが、果たして両者の違いは何でしょうか。ただ単にビジネス用語として使われがちなこれら、しかし実はその差は大きく、具体的な運用や目的に大きく影響を与えます。今回のテーマは、この2つの用語の差を、目的、方法、利用するデータの3つの観点から具体的に解説してまいります。

 

目的の違い

市場調査とは、一言で言えば「現状の把握」が目的の調査です。数値やデータでマーケット(市場)の現状を把握(実態把握)するため、つまり「過去から今」のこれまでの製品・サービスを調査する目的で行われます。具体的には、自社の製品やサービスがどれだけの市場を持っているのか、競合他社は何を売っていてどのような戦略を立てているのか、消費者の嗜好や購買行動はどのように変化しているのか、などを明らかにするためのものです。

一方、マーケティングリサーチは「意思決定の支援」が主な目的です。数値やデータからこれからの製品・サービスの市場動向を予測し考察することです。つまり「今から未来へ」向けてのニーズ探索です。こちらは、新製品開発のための市場ニーズの理解や、マーケティング戦略の策定、マーケティングの効果測定など、より具体的な行動に結びつく情報の収集と解析が主な作業になります。
 

方法の違い

市場調査は、その性質から一般的にマクロな視点で行われます。具体的には、業界の動向、市場全体の規模、成長率、競合状況、消費者の動向などを調査するため、量的調査が主流となります。対照的に、マーケティングリサーチでは、ミクロな視点、つまり個々の消費者のニーズや行動、意識などを深く掘り下げるため、定性調査が頻繁に用いられます。これにはグループインタビューやデプスインタビューなどの手法があります。

そのため、市場調査はマーケティングリサーチで使われる調査のひとつといえるでしょう。
 

マーケティングリサーチや市場調査を実施する際の注意点

実際にマーケティングリサーチや市場調査を実施する際の注意点をまとめます。

・事前に予算と期限を明確にしておく
・消費者の本音を引き出す調査手法を検討する
・定期的な調査か、一時的な調査か明確にする

マーケティングリサーチや市場調査は、ある程度の枠組みを決めておかないと調べる内容や項目がどんどん増えてしまいがちです。そうならないよう、達成しようとしている課題に対して、いつまでにどこまでの調査が必要なのかを明確にして、予算と期限を決めます。

調査手法はいろいろありますが、大切なのは自分たちの求める情報に対する社会情勢の変化なども考慮しつつ、消費者の本音を引き出す調査手法を検討することです。その上で1回だけの調査で完結するのか、または定期的に調査を行い、情報の更新性を保つ必要があるのかを明確にします。
 

マーケティングリサーチを活かすためのポイント

 マーケティングリサーチは、事業成功への重要な要素で、その結果を適切に活用することで、より効果的な経営戦略を立て、ビジネスの成果を向上させることができます。具体的な利用方法は多岐にわたりますが、その手法の選択から解釈、そして戦略への反映まで、全てを適切に進める必要があります。本記事では、その流れを踏まえたマーケティングリサーチの活用ポイントについて詳しく解説していきます。

 

データの分析方法

まず重要なのは、リサーチで集められたデータの分析法です。全てのデータが役立つわけではなく、それぞれのビジネスの状況や目的に応じたアプローチが必要でしょう。主な方法としては、定性的分析と定量的分析があります。定性的分析は、インタビューやヒアリングなどを通じて得られた主観的な意見や感情を読み解くもので、製品開発やサービス改善のための意見を集めることがあります。

一方、定量的分析は、客観的な数値を扱うもので、売上や利益などの評価指標を分析し、経営に対する具体的なアドバイスを出すときに活用されます。このように、データ分析の方法は状況や目標に応じて選ぶべきであり、それぞれのビジネス状況に合致した分析手法を利用することが重要です。
 

マーケティング戦略への反映方法

次に、分析結果をマーケティング戦略に反映する方法について考察していきます。初めに、データ分析結果はそのまま戦略に反映されるものではありません。その結果を具体的な戦略に落とし込むためには、自社のビジネスモデルや市場環境、競合との関係などを考慮する必要があります。具体的には、新製品開発、競争価格設定、プロモーション手法の選定などに反映する形が一般的です。

一方で、このマーケティング戦略への反映は一度きりではなく、一定のサイクルで見直しが求められます。市場の動向や消費者の需要は絶えず変化しますので、定期的にデータを再収集し、その結果をもとに戦略を見直す徹底的な体制を作り出すことが求められます。
 

市場調査を活かすためのポイント

一世一代のプロジェクト成功のため、ブランド戦略の策定あるいは新規事業開発の際、市場調査は必須になります。それは単にモノを売るためだけではなく、お客様の本当のニーズを探るため、どの地域にどんな人がいて何を求めているのかを知るためです。しかし、市場調査だけを行っても十分な効果を発揮する訳ではありません。その結果をどのように活用するかが重要なポイントとなります。

 

市場の動向を読む方法

市場の動向を読むために必要なのは、情報収集とその分析です。そこでまず、インターネット等を利用し幅広い情報を収集しましょう。業界紙や専門誌、新聞、SNSなどから今の市場がどんな状態にあるのか、主要なトレンドは何か、消費者のニーズは何かを把握します。

そして、その情報を分析していくことが求められます。具体的には、現在の市場環境や市場規模、競合他社の動向、消費者の嗜好や動きを理解し、それらを比較・分類したり、関連性を明らかにしたりします。これにより市場の全体像が見えてきます。

また、市場の動向を読むうえで重要なことは、定期的に情報を更新することです。市場は常に動いていますから、収集した情報が古くなってしまわないよう、最新の情報を継続的にチェックしていきましょう。
 

競合他社情報の活用方法

競合他社情報の活用においても情報収集と分析が重要になります。競合他社の製品やサービス、価格設定、マーケティング活動、リリース情報などを見ることで、業界全体の動向やトレンドを把握します。自己の位置を明確にできるだけでなく、ビジネスチャンスを見つける手がかりにもなります。

その他社情報を活用するためには、収集した情報を整理し、自社の弱点を発見し、強みを活かす方向性を見つけることが大切です。しかし、それだけで終わらせず、競合他社が成功しているポイントを見つけ、可能であれば自社に取り入れることも大切です。

最後に、競合他社情報の活用は、ただ他社を真似るだけではなく、自社が望む方向に進むための戦略作りに活かしてください。他社の成功事例から学ぶことは重要ですが、それが自社にとって最善の道であるとは限りませんので、自社の状況に応じて適切に活用することが大切です。
 

まとめ

マーケティングリサーチと市場調査にはさまざまな方法があり、マーケティング施策の検討と実施に不可欠です。ニーズが多様化している現代では、市場の細分化が進み、調査手法によってはあまり有効ではないこともあります。最新の情報や事例を活用しつつ、専門家の手も借りながら時代に合わせたマーケティング施策を実施していきましょう。

 

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