COLUMN

2026/01/05

eNPSとは?NPSを社内調査に活用する計算式と組織改善の4ステップ

NPSを社内調査に導入するメリットとは?

NPS(Net Promoter Score)とは、本来「企業やブランドに対してどれくらいの愛着や信頼があるか」を数値化する顧客ロイヤルティの指標です。 これを従業員向けに応用したものがeNPS(Employee Net Promoter Score)です。 

近年、人的資本経営への関心の高まりとともに、多くの企業が社内調査としてeNPSを導入し始めています。その最大のメリットは、「従業員のエンゲージメント(貢献意欲)」をシンプルかつ客観的な数値として可視化できる点にあります。 

従来の満足度調査が「居心地の良さ」や「福利厚生への満足」に偏りがちだったのに対し、eNPSは「親しい友人にこの職場を勧めたいか?」という問いを通じて、「自社へのロイヤルティ」や「主体的に貢献したい意欲」を測定します。 eNPSが高い組織は、離職率が低く、生産性が高い傾向にあることが多くの研究で示されており、経営指標としても非常に有効です。 

比較項目顧客向けNPS(NPS)従業員向けeNPS(eNPS)
指標の正式名称Net Promoter ScoreEmployee Net Promoter Score
主な対象顧客・ユーザー従業員・社員
測定目的企業・ブランドへの顧客ロイヤルティを把握職場に対する従業員エンゲージメントを可視化
基本的な質問「この企業(商品・サービス)を友人や同僚に
勧めたいと思いますか?」
「この職場(会社)を親しい友人に勧めたい
と思いますか?」
測定している本質愛着・信頼・継続利用意向ロイヤルティ・主体的に貢献したい意欲
スコア算出方法推奨者(9〜10点)- 批判者(0〜6点)推奨者(9〜10点)- 批判者(0〜6点)
従来調査との違い満足度ではなく「推奨意向」を測定満足度や居心地の良さではなく
「会社を勧めたいか」を測定
主な活用シーン顧客体験(CX)改善、ブランド評価、LTV向上組織改善、離職率低下、生産性向上
経営指標としての価値顧客ロイヤルティの代表的KPIエンゲージメントを示すシンプルで
客観的な経営指標
高スコアが示す状態リピート・口コミが期待できる顧客が多い離職率が低く、生産性が高い組織である可能性が高い

 

社内版NPS「eNPS」の算出方法

NPSの大きな特徴は、その算出方法のシンプルさと統一規格である点です。社内調査(eNPS)においても、基本的な計算ロジックは顧客向けNPSと同様です。ここでは具体的な手順を解説します。 

基本的な質問項目と評価スケール

eNPSを測定するための核となる質問(究極の質問)は以下の1問です。 

「あなたは、現在の職場を親しい友人や知人にどの程度おすすめしたいと思いますか?」 

この質問に対し、0点から10点の11段階で回答を求めます。 「0点:全くすすめたくない」〜「10点:非常にすすめたい」というスケールを用いることで、直感的な評価を引き出します。 

また、スコアの背景を探るために、「その点数をつけた理由は何ですか?」という自由記述や、「仕事のやりがい」「人間関係」「報酬」などの要素別の満足度を問う設問を組み合わせるのが一般的です。 

 

推奨者・中立者・批判者の分類

集まった回答は、点数に応じて以下の3つのセグメントに分類されます。この分類がNPS独自の分析の肝となります。 

  • 推奨者(Promoter):9〜10点 会社に対して強い愛着を持ち、周囲にもポジティブな影響を与える層。モチベーションが高く、組織の核となる存在です。 
  • 中立者(Passive):7〜8点 現状に大きな不満はないものの、熱狂的なロイヤルティまでは持っていない層。条件の良い他社があれば転職する可能性があります。 
  • 批判者(Detractor):0〜6点 会社に対して不満や不信感を抱いている層。ネガティブな口コミを広げたり、組織の士気を下げるリスクがあります。日本人の特性上、ここに分類される人数が多くなる傾向があります。 

 

スコアの計算式

eNPSのスコアは、以下の計算式で算出されます。 

eNPS = 推奨者の割合(%) − 批判者の割合(%) 

例えば、100人の従業員に調査を行い、以下のような結果だったとします。 

  • 推奨者(9-10点):20人(20%) 
  • 中立者(7-8点):50人(50%) 
  • 批判者(0-6点):30人(30%) 

 

この場合、計算式は 20% − 30% = −10 となり、eNPSスコアは「-10」となります。 スコアは-100から+100の間で変動します。日本企業では中立的な回答(5〜6点など)を選ぶ傾向が強いため、マイナスのスコアが出ることが珍しくありません。絶対値に一喜一憂するのではなく、自社の過去データとの比較や、業界平均との比較で判断することが重要です。 

 

eNPSと従業員満足度調査の違い

「これまでの従業員満足度調査(ES調査)と何が違うのか?」という疑問を持つ担当者様も多いでしょう。両者は似ていますが、見ている視点と目的が異なります。 

従業員満足度(ES)「現状に満足しているか」を問います。福利厚生や給与、人間関係などの「今の環境」に対する満足度を測るため、
満足度が高くても必ずしも業績向上や自発的な貢献には直結しないことがあります。
「ぶら下がり社員」でも満足度は高くなる可能性があるためです。 
eNPS「他者にすすめたいか」を問います。職場をすすめるという行為には責任が伴うため、本当に良いと思っていなければ
高得点はつきません。ここには「未来への期待」や「組織へのコミットメント」が含まれます。
そのため、eNPSは企業の成長性や顧客満足度(CS)との連動性が高いと言われています。 

つまり、「働きやすさ」を見るなら満足度調査、「働きがい・組織への貢献意欲」を見るならeNPSという使い分け、あるいは併用が効果的です。 

 

調査結果を組織改善に活かす4つのステップ

eNPS調査は「測って終わり」ではありません。むしろ、スコアが出た後のアクションこそが重要です。ここでは、調査結果を実効性のある施策に落とし込むためのステップを紹介します。 

1. 現状把握と課題の優先順位付け

まずは算出されたスコアを確認し、部署別、職階別、勤続年数別などでクロス集計を行います。「特定の部署だけスコアが低い」「入社3年目の層で批判者が増えている」といった傾向を掴むことで、全社的な課題なのか、局所的な問題なのかを切り分けます。 

 

2. 要因分析(ドライバー分析)

なぜその点数をつけたのか、要因(キードライバー)を特定します。 例えば、スコアとの相関分析を行い、「評価制度への納得感」がeNPSに強く影響していることが分かれば、そこが重点改善項目となります。自由記述のコメント分析(テキストマイニング)も併用し、数値には表れない従業員の「生の声」から文脈を読み解くことも不可欠です。 

 

3. 改善施策の実行

分析結果に基づき、具体的なアクションプランを策定・実行します。 

〈例〉評価への不満が多い → 1on1ミーティングの質向上研修を実施、評価フィードバックの透明化 

〈例〉ビジョンへの共感が低い → 経営層によるタウンホールミーティングの開催 

重要なのは、「会社は調査結果を受け止めて、変わろうとしている」という姿勢を従業員に見せることです。調査をしたのに何も変わらなければ、逆にエンゲージメントを下げる要因になります。 

 

4. 定期的なモニタリング

eNPSは一度の調査で完結するものではありません。施策の効果を検証するために、半年〜1年ごとの定期調査や、簡易的なパルスサーベイ(月1回などの頻度で行う意識調査)を継続します。 スコアの推移(時系列変化)を追うことで、施策の有効性を判断し、PDCAサイクルを回し続けることが組織改善の鍵となります。 

 

調査会社に依頼するメリット

社内調査は自社ツールでも実施可能ですが、正確なデータを取得し、確実に改善につなげるためには、専門の調査会社に依頼することをおすすめします。主なメリットは以下の通りです。 

1. 回答の匿名性と心理的安全性の確保 社内人事部が実施する場合、「本音を書くと評価に響くのではないか」という懸念から、従業員が忖度した回答をしがちです。第三者機関が介入することで匿名性が担保され、より精度の高い「本音」のデータが集まります。 

2. 高度な分析とベンチマーク比較 調査会社は統計解析のプロフェッショナルです。単純な集計だけでなく、相関分析や因果分析など高度な手法を用いて「真の課題」を特定します。また、他社データとの比較(ベンチマーク)も可能になる場合があります。 

3. 調査設計から施策提案までのサポート 「何を聞くべきか」という設問設計の段階から、「結果をどう読むか」というレポーティングまで一貫してサポートを受けられます。これにより、人事担当者の工数を削減しつつ、質の高い改善活動に注力できます。 

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まとめ

NPSを社内調査に活用するeNPSは、従業員のエンゲージメントを数値化し、組織の健康状態を測るための強力なツールです。 

  • eNPSは「親しい友人に職場を推奨できるか」で測定する 
  • 推奨者・中立者・批判者の3分類でスコアを算出する 
  • 満足度(働きやすさ)だけでなく、貢献意欲(働きがい)を可視化できる 
  • 調査後の分析とフィードバック、継続的な改善サイクルが不可欠 

正しい方法で調査を行い、従業員の声に耳を傾けることは、離職率の低下や業績向上といった大きなリターンをもたらします。 しかし、社内リソースだけで匿名性を確保し、高度な分析を行うのは容易ではありません。精度の高い調査を実現するために、プロフェッショナルの手を借りることもぜひご検討ください。 

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よくある質問(FAQ)

Q:NPSの社内調査(eNPS)の目標スコアは何点くらいに設定すべきですか?

A:日本企業の場合、国民性として中立的な評価をする傾向があるため、eNPSの平均はマイナス(-20〜-40程度)になることが多いです。絶対値の目標を立てるよりも、前回の自社スコアからの向上率や、社内の部署間比較を重視することをおすすめします。 

 

Q:調査の頻度はどれくらいが適切ですか?

 A:大規模な全社調査(センサス)は年1回〜半年に1回が一般的です。ただし、日々の変化を捉えるために、設問数を絞った簡易的な調査(パルスサーベイ)を月1回程度実施し、定点観測を行う企業も増えています。 

 

Q:記名式と無記名(匿名)式、どちらが良いですか?

 A:正確なeNPSを測定するためには、従業員が安心して本音を回答できる「無記名(匿名)式」を強く推奨します。個人の特定を避けるためにも、第三者である調査会社を経由させることが効果的です。 

 

Q:調査結果が悪かった場合、どうすれば良いですか?

 A:悪い結果こそ改善のチャンスです。スコアが低い要因(給与、人間関係、ビジョンの浸透不足など)を分析し、従業員に対して「結果の共有」と「今後の対策」を誠実に伝えることが信頼回復の第一歩となります。 

 

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