COLUMN

2026/01/16

購入者調査で「なぜ売れたか」を解明!マーケティング精度を高める調査設計のコツ

購入者調査とは?実施する目的と重要性

購入者調査とは、自社の商品やサービスを実際に購入・利用した顧客に対して行うリサーチのことです。マーケティング用語では「ユーザー調査」や「バイヤーサーベイ」と呼ばれることもあります。 

多くの企業がPOSデータやアクセス解析などの「行動ログ」を持っていますが、そこからわかるのは「誰が、いつ、何を、いくらで買ったか」という事実(Result)だけです。「なぜ買ったのか」「どのような感情の変化があったのか」という理由(Reason)は、顧客に直接聞かなければわかりません。

 

なぜ「買った人」に聞く必要があるのか

購入者は、数ある競合商品の中から貴社の商品を選び、財布を開くという最終決定を下した人たちです。彼らの中には、「成功の鍵」が眠っています。 

購入者調査を行う最大の目的は、「自社の勝ちパターン」と「改善すべきボトルネック」を明確にすることです。 

  • 強みの再確認: 企業側がアピールしているポイントと、顧客が実際に評価しているポイントにはズレがあることがよくあります(例:高機能を売りにしていたが、実際はデザインで選ばれていたなど)。 
  • プロモーションの最適化: どの媒体を見て、どのような情報が決定打になったかを知ることで、広告予算の配分を最適化できます。 
  • 商品改善: 実際に使ってみて初めてわかる不便さや、想定外の利用方法を発見できます。 

 

顧客満足度(CS)調査との違い

よく混同されるのが「顧客満足度(CS)調査」です。両者は対象者が重なることが多いですが、調査の「視点」と「ゴール」が異なります。 

項目購入者調査顧客満足度調査(CS調査)
主眼(何を評価するか)購入前〜購入時の意思決定プロセス、使用実態購入後の体験・評価
調査タイミング検討段階〜購入直後/使用中購入・利用後
ゴール・購入要因(KBF)の特定
・マーケティング施策の有効性検証
・商品開発・改善のヒント発掘
・サービス品質の維持・向上
・リピート防止(解約・離反抑止)
・NPS(推奨意向)の計測
活用シーン例・広告・訴求軸の最適化
・営業トークの改善
・新商品/改良商品の企画
・既存顧客の満足度把握
・不満点の改善優先度決定
・ロイヤル顧客の可視化

この違いを理解し、目的に応じて調査設計を使い分ける、あるいは組み合わせることが重要です。 

 

購入者調査の具体的な手法

購入者調査の手法は、大きく分けて「定量調査」「定性調査」の2種類があります。これらを単独で行うこともあれば、組み合わせて行うこともあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。 

 

定量調査(インターネットアンケート・郵送調査)

定量調査は、「数値」で傾向を把握するための手法です。「購入者の何%がWeb広告経由か」「満足度は5段階中平均いくつか」といった全体像を掴むのに適しています。 

項目内容
調査の目的数値データから全体傾向・割合・平均値を把握する
主なアウトプット・購入経路の構成比・満足度平均値(5段階評価など)・属性別の傾向
向いている分析仮説検証/市場全体での自社ポジション把握
特徴「なぜそう思ったのか」といった深層心理の把握は難しい

主な手法

手法特徴メリット
インターネットリサーチ
(Webアンケート)
自社会員や調査会社のモニターパネルを活用し、
購入者をスクリーニングして実施
・短期間で実施可能
・低コストで大量サンプルを回収
商品同梱アンケート
(ハガキ・QRコード)
商品パッケージにアンケート用紙やQRコードを封入・会員未登録の購入者の声も取得可能
・直近の購入体験を反映しやすい

定量調査は、仮説の検証や、市場全体における自社の立ち位置を把握するのに必須の手法です。しかし、「なぜそう思ったのか」という深い心理までは掘り下げにくい側面があります。 

 

定性調査(インタビュー・行動観察)

定性調査は、「言葉」や「行動」から背景にある文脈や心理を深く理解するための手法です。「N=1(ひとりの顧客)」を深掘りすることで、思いもよらないインサイト(洞察)を得ることができます。 

項目内容
調査の目的言葉や行動から背景・文脈・心理を深く理解する
主なアウトプット・インサイト(洞察)・購入理由の裏側にある本音
向いている分析仮説探索/カスタマージャーニーの深掘り
特徴N=1(個人)を深く掘り下げることで、定量では見えない発見が得られる

主な手法

手法特徴メリット

デプスインタビュー

(1対1)

モデレーターと対象者が1対1で対話(オンライン実施も増加)・本音を引き出しやすい
・購入時の心理変化を詳細に把握
グループインタビュー(座談会)4〜6名程度の購入者でディスカッション・参加者同士の刺激で多様な意見が出やすい
HUT/行動観察家庭での使用状況を観察、日記形式で記録・無意識の行動
・言語化されにくい不満点を発見可能

例えば、「デザインが気に入った」というアンケート結果があったとしても、定性調査を行うと「実は部屋のインテリアに合うのがこの商品しかなかった(消極的選択)」という真実が見えてくることがあります。 

調査手法の選定については、経済産業省のミニ経済分析なども参考になります。市場の大きなトレンドを把握した上で、自社の調査を設計しましょう。 

 

調査から得られるインサイトと活用場面

購入者調査を実施することで、ビジネスを加速させるための具体的な「武器」が手に入ります。ここでは代表的な2つの活用場面を解説します。

 

認知経路と購入の決め手(KBF)の特定

マーケティングにおいて最も重要なのが、「どこで知り(認知)」「何が決め手で買ったか(KBF:Key Buying Factor)」の特定です。 

  • 認知経路の分析

「SNS広告を見て」と答えた人が多いが、詳しく聞くと「以前から友人が使っていて気になっていた(真の認知は口コミ)」というケースは多々あります。調査によって、真に投資すべきチャネル(アトリビューション)が判明します。 

  • KBFの分析

企業側は「高品質」を売りにしているのに、顧客は「時短になること」を価値として買っているかもしれません。このズレを修正することで、LP(ランディングページ)のキャッチコピーやパッケージデザインを、より顧客に刺さるものへと改善できます。 

 

競合比較とスイッチング理由の解明

購入者は、貴社の商品を買う直前まで、競合他社の商品と比較検討していることがほとんどです。 

  • 比較対象(競合)の特定 

「どの商品と迷いましたか?」という質問から、真のライバルが見えてきます。同業他社だけでなく、全く別のカテゴリーの商品が競合している場合もあります(例:マッサージ機の競合が、整体院の回数券であるなど)。 

  • スイッチング理由

他社商品から乗り換えた顧客に対して「なぜ乗り換えたのか」を聞くことで、競合の弱点と自社の勝機が明確になります。逆に、自社商品から離脱した理由(解約理由)と合わせて分析することで、LTV(顧客生涯価値)最大化の施策が打てるようになります。 

効果的な調査票・インタビューフローの設計

調査の成功は、「準備(設計)」で8割決まると言っても過言ではありません。何となく聞きたいことを羅列するだけでは、役に立つデータは集まりません。 

 

質問項目の構成例

購入者調査の基本的なフローは、時系列に沿って設計するのがセオリーです。 

1. 購入前の状況(ニーズの発生): 

  a. どのような課題や悩みがありましたか? 

  b. 商品を必要としたきっかけは何ですか? 

2. 情報収集・比較検討: 

  a. どのようにしてこの商品を知りましたか? 

  b. 他に比較した商品はありますか? 

  c. 購入時に重視したポイントは何ですか?(価格、機能、ブランドなど) 

3. 購入決定・購入時体験: 

  a. 最終的な決め手は何でしたか? 

  b. 売り場やWebサイトでの購入しやすさはどうでしたか? 

4. 購入後の評価・利用実態: 

  a. 実際に使ってみて、期待通りでしたか? 

  b. 最も気に入っている点、不満な点はどこですか? 

  c. 知人におすすめしたいと思いますか?(NPS) 

 

バイアスを防ぐための注意点

調査設計で最も注意すべきなのが「バイアス(偏り)」です。誘導尋問のような質問をしてしまうと、欲しい答えしか返ってこず、調査の意味がなくなります。 

  • 誘導的な質問を避ける

  NG例:「この商品の優れたデザインについてどう思いますか?」 

  OK例:「この商品のデザインについてどう思いますか?」 

  • ダブルバーレル質問を避ける

  1つの質問で2つのことを聞かないようにします。 

  NG例:「商品の価格と機能に満足していますか?」 

  OK例:「商品の価格に満足していますか?」「商品の機能に満足していますか?」と分ける。 

  • 選択肢の網羅性

  「その他」ばかりが選ばれないよう、プレ調査を行うなどして選択肢を精査する必要があります。 

自社で設計すると、どうしても「自社商品への愛着」からバイアスがかかりがちです。客観的な視点を保つためには、第三者の視点を入れることが有効です。 

 

調査会社に依頼するメリット

ここまで解説した通り、購入者調査は設計から分析まで専門的なノウハウが必要です。自社(インハウス)で実施することも可能ですが、調査会社に依頼することで、より精度の高い結果が得られます。 

主なメリットは以下の3点です。 

1. 客観的でフラットな視点

社内の人間では気づかない「顧客視点」での設問設計が可能です。特にインタビュー調査では、第三者が聞くことで、顧客が企業に遠慮せずに本音(不満点など)を話しやすくなる効果があります。 

2. 質の高いモニタリングとリクルーティング 

自社リストがない場合でも、調査会社が保有するパネルから「特定の条件(例:30代女性、特定カテゴリの商品購入者)」を抽出して調査できます。 

3. 高度な分析技術

集まったデータを単に集計するだけでなく、多変量解析やテキストマイニングなどの手法を用いて、データ裏に潜む相関関係や因果関係を統計的に明らかにできます。 

 

まとめ

購入者調査は、売上の背後にある「顧客の心」を可視化する強力な手法です。 本記事の要点を振り返ります。 

  • 購入者調査は「結果」ではなく「理由」を知るために行う。 
  • 全体像を掴む「定量調査」と、深層心理を探る「定性調査」を使い分ける。 
  • 調査結果は、KBFの特定、競合対策、商品改善など多岐に活用できる。 
  • 成功の鍵は、バイアスのない公平な調査設計にある。 

市場の変化が激しい現代において、過去の成功体験だけに頼るのは危険です。常に「今の購入者」の声に耳を傾け、事実に基づいたマーケティング戦略を構築することが、企業の持続的な成長につながります。 

もし、 「初めての調査で何から手をつければいいかわからない」 「自社の商品に合った調査手法を提案してほしい」 「社内のリソースが足りず、設計から分析までプロに任せたい」 とお考えであれば、ぜひ一度専門家にご相談ください。 

市場調査のプロフェッショナルが、貴社の課題に合わせた最適な調査設計をご提案します。 まずは無料相談をご活用ください。

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よくある質問(FAQ)

Q:購入者調査を行うのに最適なタイミングはいつですか?

 A: 目的に応じて異なりますが、記憶が鮮明な「購入直後」が基本です。商品同梱ハガキや、ECサイトでの購入完了メールからの誘導が効果的です。一方で、耐久消費財などで「使い続けた感想」を知りたい場合は、購入から1ヶ月後や3ヶ月後などに追跡調査を行うこともあります。 

 

 Q:サンプル数(回答者数)はどのくらい必要ですか?

 A: 定量調査(Webアンケート)の場合、統計的な信頼性を確保するためには一般的に300〜500サンプル以上が推奨されます。分析軸(性別・年代別など)を細かく分けたい場合は、各セルごとに最低30〜50サンプル程度が必要です。定性調査(インタビュー)の場合は、6〜10名程度でも十分な発見が得られることが多いです。 

 

 Q:自社の顧客リストがない場合でも調査は可能ですか?

 A: はい、可能です。調査会社が保有する大規模なアンケートモニターを利用し、スクリーニング調査(事前調査)を行うことで、「貴社の商品を購入したことがある人」や「競合商品を購入した人」を探し出し、本調査を行うことができます。 」

 

Q:費用はどのくらいかかりますか? 

A: 調査手法、サンプル数、設問数、分析の深さによって大きく変動します。簡易的なWebアンケートであれば数万円〜実施できる場合もありますが、リクルーティングを含むインタビュー調査や詳細な分析レポートを含めると数十万円〜数百万円となる場合もあります。まずは予算と目的を伝えて見積もりを取ることをおすすめします。 

 

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