COLUMNコラム
利用経験調査(U&A調査)とは?
アンケート項目や実施の流れ、分析事例を徹底解説
利用経験調査(U&A調査)とは?
利用経験調査とは、Usage(利用実態) と Attitude(意識・態度) の両面から、消費者と商品・サービスの関係性を数値で把握する定量調査です。
行動(Usage) × 意識(Attitude)
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・いつ使うか ・なぜ選んだか
・どこで使うか ・何を重視したか
・どのくらい使うか ・満足しているか
利用経験調査でわかること
利用経験調査を実施すると、POSデータなどの売上結果だけでは見えない“途中経過”を可視化できます。
| 分類 | 指標・項目 | 内容 |
|---|---|---|
①ブランド浸透度 (ファネル分析) | 認知率 | 商品・ブランドがどの程度知られているか |
| 購入経験率 | 一度でも購入・利用したことがあるか | |
| 現在利用率 | 現在、継続的に利用しているか | |
| 今後の利用意向 | 今後も利用・再購入したいと思っているか | |
②利用実態 (Usage) | TPO | いつ・どこで・誰と使われているか |
| 頻度・量 | 利用頻度や使用量の実態 | |
| 併用状況 | 他社製品との使い分け・併用の有無 | |
| ③購入重視点(Attitude) | KBF(Key Buying Factor) | 価格・機能・デザインなど、購入時に最も 重視されている要素 |
| ④スイッチング要因 | 乗り換え理由/流入理由 | 競合へ離反した理由、または競合から自社へ 切り替えた理由 |
| ⑤顧客満足度(CS) | 評価ポイント・不満点 | 高評価されている点や、表面化しにくい 不満・改善要望 |
利用経験調査が「施策判断」に直結する理由
例えば売上が落ちている場合でも、
- そもそも知られていない(認知不足)
- 一度は使われたが満足されていない(リピート低下)
- 競合に乗り換えられている(スイッチング)
など、原因によって打つべき施策は全く異なります。
利用経験調査(U&A調査)では、どの段階に・どんな課題があるのかを数値で特定できます。
どのような場面で活用されるか
利用経験調査は、製品ライフサイクルのあらゆるフェーズで活用できる汎用性の高い調査です。
| フェーズ | 活用目的 |
|---|---|
| 新商品開発 | 既存市場における消費者の不満点(アンメットニーズ)を探り、競合が満たせていない「空白の参入機会」を見つけるために実施します。 |
| 商品改善 | 現在のユーザーがどの機能を気に入っているのか(変えてはいけない点)、逆にどこに不満を持っているのか(変えるべき点)を把握し、改良の方向性を定めます。 |
| プロモーション | ターゲット層が普段どのようなメディア(SNS、テレビ、WEB記事など)に接触しているか、どのような メッセージに心を動かされるかを確認し、最適な広告媒体やクリエイティブを選定します。 |
| 競合分析 | 自社だけでなく競合商品の利用実態も同時に聴取することで、「なぜあの商品は売れているのか」という 競合の強みを分析し、対抗策を検討します。 |
利用経験調査の主な項目と設計
調査を成功させるためには、精度の高い調査票(アンケート項目)の設計が不可欠です。「なんとなく聞きたいことを並べる」のではなく、マーケティング課題に基づいた仮説検証型の設計が必要です。
聴取すべき基本項目
一般的に、利用経験調査では消費者の行動心理プロセスに沿って質問を構成します。これを「ブランドファネル」に沿って設計することで、どこに課題があるかを特定できます。
| フェーズ | 主な設問 |
|---|---|
| 1. 認知 | 純粋想起・助成想起 |
| 2. 利用経験 | 過去利用・現在利用・主利用 |
| 3. 購入・利用の背景 | 利用シーン・頻度・場所 |
| 4. 意識・評価 | 満足度・KBF・NPS |
| 5. 回答者属性 | 性年代・職業・世帯構成 |
1. 認知(Awareness)
- 純粋想起:「〇〇(例:炭酸飲料)といえば、どのブランドを思い浮かべますか?」と自由記述で聞き、ブランドの強さを測ります(第一想起率など)。
- 助成想起:「次の中から知っているブランドを全て選んでください」と選択肢を提示し、知名度を確認します。
2. 利用経験(Trial & Usage)
- 利用経験:「これまでに購入・利用したことがあるブランドは?」(過去の接点)
- 現在利用:「直近3ヶ月以内に購入・利用したブランドは?」(アクティブユーザーの特定)
- 主利用:「最も頻繁に利用しているブランドは?」(ロイヤルティの確認)
3. 購入・利用の背景(Usage Situation)
- 購入場所(スーパー、コンビニ、ECなど)、購入頻度、利用シーン、一緒に使うものなど、生活の中での具体的な使われ方を掘り下げます。
4. 意識・評価(Attitude & Evaluation)
- そのブランドを選んだ理由、満足度、推奨意向(NPS®)、ブランドイメージなど。「機能的価値」だけでなく「情緒的価値(好き、安心するなど)」も聴取します。
5. 回答者属性(Attributes)
- 性別、年代、居住地、職業、世帯年収、家族構成など。これらの「フェイスシート」と呼ばれる属性情報と掛け合わせることで分析の深度が増します。
- これらの項目を組み合わせることで、「30代の働く女性(属性)は、時短を重視して(意識)A社の冷凍食品を選んでいるが、価格が高い(評価)ため週末にしか利用していない(実態)」といった、具体的な顧客像(ペルソナ)が見えてきます。
調査設計の重要ポイント
質の高いデータを集めるためには、リサーチのプロが意識している以下のポイントを押さえる必要があります。
スクリーニング調査の活用 :いきなり本調査を行うのではなく、まずは数万人規模の「スクリーニング調査(事前調査)」を行い、対象となるカテゴリーの利用者(出現率)を把握・抽出します。例えば「ドッグフードの利用実態」を知りたい場合、犬を飼っていない人に詳細を聞いても意味がありません。
選択肢の網羅性と排他性(MECE): 回答の選択肢に漏れやダブりがないようにします。「その他」を選ぶ人が多くなると分析が難しくなるため、事前に定性調査などで選択肢を洗い出すか、予備調査を行うことが有効です。
比較対象(ベンチマーク)の設定 」:自社商品の評価だけを聞くのではなく、必ず競合商品の評価も同じ尺度で聴取します。「満足度80%」という数字も、競合が「90%」であれば改善が必要です。相対的な強み・弱みを把握するために、比較は必須です。
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代表的な調査手法
利用経験調査を行うための手法はいくつかありますが、目的や予算、知りたい深さに応じて使い分ける、あるいは「定量」と「定性」を組み合わせることが重要です。
| 手法 | 得意領域 |
|---|---|
| インターネット調査 | 市場全体の傾向把握 |
| インタビュー調査 | 深層心理の理解 |
インターネット調査(定量調査)
現在、利用経験調査で最も主流なのがインターネットリサーチです。市場全体の傾向を数値で把握するのに適しています。
- メリット
スピードとコスト:短期間(数日〜2週間程度)で大量のサンプルを集めることができ、郵送調査や訪問調査に比べてコストも安価です。数千人規模のデータを集めれば、統計的に有意なクロス集計分析が可能になります。
幅広い属性へのアプローチ:全国の登録モニターに対して配信できるため、地域や年代の偏りを防ぎ、市場全体を俯瞰できます。
- デメリット
インターネットを利用しない層(超高齢者など)の声が拾いにくい場合があります。
回答者が設問を読み飛ばすなどの「不誠実回答」が含まれるリスクがあるため、システムによる矛盾回答の排除など、適切なデータクリーニングが必要です。
定量的なデータを基に「市場の全体像」や「ボリューム」をつかみたい場合は、インターネット調査が最適です。
インタビュー調査(定性調査)
「なぜその行動をとったのか」という深層心理(インサイト)を探るためには、デプスインタビューやグループインタビューなどの定性調査が有効です。
- 活用シーン
定量調査で「満足度が低い」という結果が出たが、具体的な理由や改善のヒントがわからない場合。
ユーザー自身も言語化できていない、無意識の購入動機や生活習慣を探りたい場合。
- 手法
デプスインタビュー(1対1):対象者の生活背景や価値観まで深く掘り下げ、個人のストーリーからヒントを得ます。
グループインタビュー(座談会):複数人のやり取りの中で、新しいアイデアや意見が誘発される(グループダイナミクス)ことを期待します。
理想的なのは、定量調査で「全体像(What)」をつかみ、定性調査で「理由(Why)」を深掘りする、という組み合わせです。 マクロな視点と自社の調査結果を照らし合わせることも、市場理解を深める上で重要です。
調査実施の流れと依頼時の注意点
社内で調査を行うリソースがない場合、専門の調査会社に依頼することが一般的です。ここでは外部パートナーに依頼する際の流れとポイントを解説します。
調査企画から納品までのステップ
一般的に、調査会社に依頼してから結果が納品されるまでは以下のプロセスをたどります。期間はインターネット調査の場合、最短で2〜3週間程度が目安です。
| フェーズ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
①問い合わせ・ ヒアリング | 解決したいマーケティング課題、予算、スケジュールを共有 | 課題を「調査で何を判断したいか」まで言語化できると精度が上がる |
| ②調査企画・提案 | 対象者条件(性年代・居住地など)、サンプル数、設問構成の提案を受ける | 競合比較・ベンチマーク有無をここで確認 |
| ③調査票作成・確定 | 誘導にならない質問文・回答しやすい設問を設計 | 仮説検証型の設問構成になっているかが重要 |
| ④実査 | モニターへのアンケート配信・回収 | 回収率・不誠実回答対策の設計が品質を左右 |
| ⑤データ集計・分析 | 単純集計(GT)、性別・年代別などのクロス集計 | 「どの切り口で見るか」を事前に決めておく |
| ⑥報告書納品 | 集計表、グラフ付き分析レポート、ローデータを受領 | 次の施策につながる示唆(インサイト)があるかを確認 |
調査会社選びのポイント
調査会社を選定する際は、単に「価格が安いから」という理由だけで選ぶのは危険です。以下の点を確認しましょう。
- リサーチャーの質 :単にアンケートシステムを貸すだけでなく、「その課題なら、この聴取方法が良い」といったマーケティング視点での提案をしてくれるかどうかが重要です。
- 保有パネル(モニター)の品質 :質の高い回答者モニターを抱えているか。特定の業界(例:医療従事者、BtoB決裁者、富裕層など)に強いパネルを持っているかもチェックポイントです。
- 分析力とレポート :数字の羅列ではなく、次のアクションにつながる示唆(インサイト)を含んだレポートを作成してくれるか確認しましょう。
利用経験調査の成功事例
ここでは、利用経験調査を活用してマーケティング課題を鮮やかに解決した事例を紹介します。
【事例:食品メーカーA社(ドレッシング)】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課題 | 新商品のドレッシングを発売したが、初回購入後のリピート率が伸び悩んでいた。「味が悪いのか」「価格が高いのか」など社内で意見が分かれ、真の原因を特定できていなかった。 |
| 調査内容 | 購入経験者を対象にU&A調査を実施。・競合B社商品との比較評価(味・価格・パッケージ・使いやすさ 等)・食卓での利用実態調査(写真投稿を含む実地調査) |
| 調査結果 | ・味・価格の評価は競合商品よりも高かった・自由記述から「容器の液垂れがストレスで冷蔵庫が汚れる」という不満が多数判明・利用シーン分析により、サラダ用途だけでなく「肉料理のソース」「下味」として使うヘビーユーザーが一定数存在することが明らかになった |
| 施策と成果 | ・注ぎ口を改良し、液垂れ防止キャップを採用・パッケージに「お肉料理にも合う!」という訴求を追加・裏面でハンバーグや唐揚げなどのレシピ提案を強化し、リピート率の改善と新たな利用シーンの拡張に成功 |
結果、リピート率が大幅に改善し、新たな用途での購入層を獲得することに成功した。 このように、利用者の「生の声」と「行動実態」を調査で明らかにすることで、的確な打ち手を講じることが可能になります。
調査結果をマーケティングに活かす方法
調査結果は「見て終わり」ではありません。重要なのは、そのデータをどのように次の戦略に落とし込むかです。
- ターゲットの再定義(セグメンテーション)
調査で見えてきた「ロイヤルユーザー」の属性や価値観をもとに、ペルソナをより具体的に修正します。「なんとなく20代」ではなく「20代後半の共働きで、週末にまとめ買いをする層」といった解像度です。
- USP(独自の売り)の明確化
競合と比較して、顧客が高く評価しているポイントを特定し、それを広告コピーや営業資料のメインメッセージに反映させます。
- カスタマージャーニーマップの修正
認知から購入、利用に至るまでの実際の動きを反映させ、接点ごとの施策(タッチポイント戦略)を見直します。どの段階で離脱が多いかを知ることで、予算配分の最適化が可能になります。
まとめ
利用経験調査(U&A調査)は、消費者の「行動」と「意識」を可視化し、ビジネスの意思決定をデータで支える強力なツールです。
- 現状把握:認知率や利用率、競合との位置関係を数値化できる。
- 要因特定:なぜ選ばれているのか、なぜ離脱したのか、ボトルネックがわかる。
- 戦略立案:新商品開発やプロモーションの精度を高め、失敗リスクを低減できる。
しかし、効果的な調査を行うためには、正しい調査設計と分析スキルが欠かせません。自己流のアンケートでは、誘導尋問になってしまったり、分析に必要なデータが取れなかったりするリスクがあります。
もし、「何から手をつければいいかわからない」「精度の高い調査を行いたい」とお考えであれば、専門家のサポートを受けることをお勧めします。
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よくある質問(FAQ)
Q:利用経験調査の費用感はどれくらいですか?
A:インターネット調査の場合、設問数や回収サンプル数によって大きく変動しますが、簡易的なものであれば数万円〜、本格的な分析を含めると数十万円〜数百万円程度まで幅広いです。詳細な分析やレポート作成の有無でも費用が変わるため、まずは解決したい課題を伝えて見積もりを依頼することをお勧めします。
Q:調査期間はどのくらいかかりますか?
A:調査設計から納品まで、インターネット調査であれば通常2週間〜1ヶ月程度です。お急ぎの場合は、実査(アンケート配信)のみを数日で完了させるスピードプランなどを持つ調査会社もあります。
Q:BtoB(法人向け)商品でも利用経験調査はできますか?
A:はい、可能です。ただし、一般消費者向け(BtoC)とは異なり、回答対象者が限定されます。ターゲットとなる職種や役職者、決裁権を持つ層にアプローチできるパネルを持っている調査会社を選ぶ必要があります。
Q:調査票の作成から手伝ってもらえますか?
A:はい。調査会社では、お客様の課題をヒアリングした上で、最適な設問構成や選択肢の設計からサポートすることが一般的です。プロが設計することで、バイアスを排除し、データの精度が格段に向上します。
Q:個人情報の取り扱いは安全ですか?
A:信頼できる調査会社は、プライバシーマークの取得や情報セキュリティ管理体制を整えています。回答データは統計的に処理され、個人が特定されない形で納品されるのが基本ですのでご安心ください。
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